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「高射幸性回胴式遊技機の15%規制を一旦延期する」というふざけた議決

私は業界人ではないので細かいところ間違ってるかもしれないですがご了承ください。

 

『基本事項:遊技機規則改正』

 

既報の通り、2018年2月1日風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法・風適法)」の遊技機規則が改正され、パチンコ・パチスロの主に出玉率に対して新たな規制が導入されることに決まりました。

 

 今回の規制の内容(特に出玉率についての規制)はかなり厳しく、数年後の新基準台がメインになったパチンコ・パチスロ店の売上低下は確実で、今回はパチンコとパチスロの規制が同時に行われること、消費増税による影響、改正健康増進法施行に伴うパチンコ屋店内原則禁煙化の影響などもあり、規制前後の2年間で約2000軒のパチ屋が潰れ スロット専門店の半分が潰れ 当時業界6位だった大手パチンコチェーン店も倒産した10年前の5号機規制を上回る影響が出ることは避けられない情勢となってます。

本来、この手の規則改正は警察主導による「行き過ぎた出玉を制限し射幸性を抑制する」ことを主目的に定期的に行われるものですが、先のIR関連法案審議で野党やメディアからギャンブル依存症対策が叫ばれ、その結果2018年10月5日にパチンコ依存問題にも触れた「ギャンブル等依存症対策基本法
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/29985/00000000/6-2.pdfが成立し、パチンコ店におけるギャンブル依存症対策が行政にとっての法的義務として扱われるようになったことで、政治的にも大きく関係する話となってます。

『高射幸性回胴式遊技機の15%規制』

ここからが本題。

今月14日、パチンコ店組合の連合会組織である全日遊連(全日本遊技事業協同組合連合会)の会合内で、「高射幸性回胴式遊技機の15%規制を一旦延期する」という極めてふざけた議決が行われました。


www.pachinkovillage.com


ここに至る経緯を説明すると、
現在ホールに設置されてるスロット機は大別すると以下に分けられます。

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 この図の中で「新基準に該当しない回胴式遊技機」というのは上2つに該当し、その中でも1日2万枚(等価計算で約40万円)の払い出し実績がある特に射幸性が高いと判断された77機種を「高射幸性回胴式遊技機として区別してます。
(その後定められた「新基準」で出玉性能が抑えられた台が5.5号機、さらに抑えられた台が5.9号機)

 

この高射幸性回胴式遊技機の設置割合を、2018年1月末までにホールのスロット台総数の15%以下にするというというのが「15%規制」の概要です。

 

射幸性が高い機種ほど客に人気があり店にとっても大きな収入源となってるが、反面パチンコ依存症を最も誘発しているのもこれらの機種なので、高射幸性回胴式遊技機パチンコ依存症問題解決のために早急に撤去することが望ましい最重点機種なのは明らかです。
これらの機種を優先的に減らしていこうという動きが「15%規制」です。


こう書くと、ホールにダメージを与えるこの規制は今回のパチンコ・パチスロ規制の一環のようにも思えますが、実はこれはホール組合が自ら定めた「自主規制」なのです。


『15%自主規制に至る経緯』

 

 基本的にパチンコ機・スロット機は検定有効期間の3年に加え、認定期間3年の計6年間の設置期限がある。

これを踏まえて、今回の規制話が持ち出されたとき、認定および既存の認定機の扱いについて大きな問題になりました。というのも、射幸性の抑制を大義に掲げた今回の規制で優先して撤去対象となるべき高射幸性回胴式遊技機は、当時全てが認定機または認定を目前に控えた台だったからです。

検定機については、余程のことがなければ公示日から3年間の設置が認められてますが、「認定」については公安の裁量次第であり、 このケースでは認められない可能性が大いにありました。

実際に、10年前の4号機から5号機への移行に伴う規制の際には認定設置は認められず、検定切れ台は即撤去されてます。


今回の規制で認定設置を認めず、すでに認定を受けた台についても認定を取り消してしまえば、高射幸性回胴式遊技機の大半はホールから撤去され、パチンコ依存症問題の解決も大いに前進していたはず。

この数年前、警察はパチンコにおける高射幸性遊技機の撤去を業界に要請した過去もあり、当時の多くのパチンコ指向者は高射幸性回胴式遊技機の認定設置は認められず撤去されるものと考え、ホールもそれを覚悟してました。

ところが蓋を開けてみると、当時の公安はこれら高射幸性回胴式遊技機の認定設置を認めてしまったばかりか、わざわざ「前倒し認定」という特例制度まで持ち出してパチンコ業界に多大な便宜を図りました。
元々このケースでの「認定」自体がおかしいのに、それを認めるためのさらにおかしな制度をわざわざ作り出すとは、警察幹部とパチンコ業界の癒着を疑わざるを得ません。

これにより本来の検定期間切れからさらに3年間の設置が認められ、ギャンブル依存症患者を減らすどころか新たなギャンブル依存症患者を生み出すことになり、今回のパチンコ規制の趣旨に水を差す結果になってます。これはパチンコ台についても同様です。

当局の裁定に対して、「さすがにこれでは甘すぎる」という批判が噴出し、さらには政府によるギャンブル依存症対策の動きも盛り上がって来たことで、(警察の要請で)高射幸性回胴式遊技機の削減に向けた業界の取り組みとして独自に打ち出したのがこの「15%規制」です。

 

要は、警察は認定設置を認めるなど「過大な」配慮をしてくれたものの、これでは世間や政府が許さない可能性があり、下手をするとこの方針が撤回される可能性があるので、そういう流れになる前に高射幸性回胴式遊技機の削減に向けた業界独自の取り組みとして「15%規制」を打ち出すことでガス抜きをしたというものです。

 

そしてそれを先日撤回したわけです。

 

『15%自主規制を撤回する人をナメた理由』

 

 その撤回理由は、「6号機の検定通過状況が芳しくなく、代替台(特に中古台)が市場に満足に供給されてない。」というもの。

 

6号機が検定審査をなかなか通過できないのは、メーカーが新基準の趣旨に沿った台を作ろうとしていないからで、メーカーや業界が責められるべきことであり、言わば同じ会社の他部署に原因がある次元の話。こんなものは言い訳にはならないでしょう。

 

そもそも、今なお高射幸性回胴式遊技機が普通に打てる状況にあるから出玉性能が明らかに劣る6号機がより注目されなくなるわけで、この状況で市場で受け入れられる台を作ろうとするとどうしても無理なスペックの台を作らざるを得なくなる。そして試験に落ちまくる。
6号機を普及させたければ、まずは出玉性能に雲泥の差がある高射幸性回胴式遊技機を撤去することが先決でしょう。

 
代替台の問題にしても、高射幸性回胴式遊技機以外にも設置できる台はいくらでもある。仮に検定期間(設置期限)が短い台であっても、その台が撤去される1~2年先に考えればいい話で、現時点で早々と高射幸性回胴式遊技機の継続設置をしなければいけない理由はどこにもないです。

 

だいたい大半の高射幸性回胴式遊技機は認定期間切れにより2019年12月までに撤去されるため、多くの5.5号機や5.9号機より先になくなるわけで、6号機が普及するまでの間の"つなぎ"として高射幸性回胴式遊技機を継続して使うというのは、この点でも理論破綻してます。

 

 「中古台は高騰している」という主張にしても、それは一部の人気台についての話であり、数万円程度で取引されている台はいくらでもある。というか、世に登場したスロット機の大半が半年持たずに撤去され産廃台になる昨今、ホールの倉庫にはそういう台が大量に眠っており、中古市場に頼る必要すらないのが実情です。

 

 結局は、口実をつけて利益率の高い高射幸性回胴式遊技機を残すことを目的とした茶番決議であり、もっと言えばこの「15%自主規制」自体が警察当局と世間や政府を欺くための、ハナから守る気のない方便だった可能性が高い。

 

こんなことを許してはいけない。
志のある警察関係者や政治家は、ギャンブル依存症問題解決に向けた取り組みに逆行するこの案件について全日遊連の姿勢を厳しく糾弾し、高射幸性回胴式遊技機はもちろん、それ以外の台についても認定を取り消すなどのペナルティも含めた毅然とした対抗措置を取るべきでしょう。